1993年公開の「日の名残り」です。原作はイギリス在住の日系2世カズオ・イシグロの同タイトルの小説(1989年)です。最近公開された映画「私を離さないで」(Never Let Me Go)の原作の作者でもあります。イギリスらしい小説も書いてるんですね…。私はヴィレッジ・ヴァンガードで買った「私を離さないで」の和訳に挑戦したんですが、挫折しました…なつかしい大学受験前の話。かれこれ3年ちょい前ですか。あれ以降イシグロ恐怖症で挑戦してません…そろそろ原文で読んでみようと思います。
というか、途中で観てて思った。Gossip Girl でこの映画のオマージュシーン出てくるよね!?シーズン5で、ブレアが「チャック死なないでぇぇ!」って神様に祈り「生かしてくれたら私もう会わないからぁ!!」、後に背後から「チャックさん、生き返りましたよー」みたいになるシーン。すごく聞き覚えのある内容と思ったら、本当にそうだ。この回のタイトルが"The End of the Affair?"でした。下は左がブレアさん(Leighton Meester)と右がサラさん。この二人、顔の系統似てるね。レトロが似合うお二人だ。
この映画を観終わって思ったのは、なんだか爽快感がない。ちょっともやもやしたものが残ってる感じ。確かに、ヴィンセントは彼の夢を果たして宇宙へ飛び立つ。けれど、それで感動的な音楽に乗せられて、「あ~よかったね!!!」よりは、これってどうなの?と思うんだ。彼は30で死ぬだろうと生まれた瞬間宣告されて、けれど今のいままではなんとか生きてる。けれど、宇宙に行ったらどうなるだろう?もしかしたら土星に着く前に、今度こそ死んでしまうかもしれない。彼には将来って言うのが手さぐりで、常に体当たりしながら生きていかなければならない。しかもナレーションに、"We came from the stars so they say, now it's time to go back"(「俺たちは宇宙の星から生まれたと言われているけど、いよいよ戻る時がきた」)というセリフがあるけど、ここでもやっぱりヴィンセントが死んでしまうことを暗に示してるのかも。だからなんだと思う、安心してよかったねって言えないのは。hopeがない。
ポスターに書かれてる"There is no gene for the human spirit"からもわかるように、どれほど科学が発展して、この映画の世界のように遺伝子がすべてという時代を迎えても、人間の精神だけは操作することができない。ユージーンには優等な遺伝子を持ってる者としてのプライドはあるけど、自分の弱い精神では十分に生かせることはできないと思って、第三者に自分の遺伝子を売ってみようと思ったんじゃないかしら。それは本当に自分の遺伝子は優等なのか、それとも自分が弱いから生かしきれないのかを確かめるという意味で。そこで印象に残るのは、ユージーンが刑事さんに「癪にさわるんだろ?俺にあんたが夢見るしかできないことができるってことがよ!」って言う場面。彼は、自分の遺伝子が優等である確信を得たからこそ言えるセリフだと思う。
ただ気になるのは、ヴィンセントに"you just have to fill in the last two years of [Eugene's] life"と遺伝子売買の仲介者がいってること(スクリプトを見てるので、実際映画でそれを言ってたかは忘れましたが…)。これが本当だとしたら、ユージーンは遺伝子学的な余命があと2年しかないということになって、解釈が変わってくると思うんだけど…。